円満字陽介「京都まち遺産探偵」

個人的な分類は実用書?

京都が好きで京都の観光地はだいたい知っている人向け,かな。
あるいは京都に住んでいてお散歩が好きな人。

問題 狛犬の代わりに狛猪がある神社はどこか。(初級編)
問題 清水寺に1年中いる蝉はどこにいるか。(中級編)

別にクイズの本ではなくて(上の問題は私が作った。),見落としがちな細かいものを集めている本。

京都市電のポールがまだ市内には沢山あって,その上には擬宝珠があるとか。
これをもって京都を散歩したくなる本。

福田 晃市「中国人に学ぶ「謀略の技術」」(PHP研究所)

タイトルがあまり良くないかもしれない。

内容は,中国古典に学ぶビジネス上の人間関係の技術に近い。いろいろな古典の故事にあらわれる人間像の現代的応用といったところ。ただ,それほど深い考察をしているわけではないので,どちらかというと普段紹介されない中国古典についての読み物として捉えると丁度良い。

飲茶「史上最強の哲学入門」 (河出文庫)

この本の最大の難点は,著者名が著者名に見えないことだと思う。あとカバーイラストが刃牙の人で中身と合わないように見える(読んでみると意外とあってるんだけど)。

それはさておき。

法学でもその他の人文系学問なんでも良いけれど,西欧的なものをちょっと勉強すると行き当たる基本素養として要求される哲学的なもののアウトラインを真理,国家,神,存在の各章にわけて哲学者ごとに極めて大雑把に記述した本。大学受験の実況講義シリーズみたいなのり。たぶん,それなりのレベルの高校生くらいの学力でさらっと読める。法学をなんとなく勉強していて基本素養に不安がある人にも良さそう。

山口勉「でんかのヤマグチさんが「安売り」をやめたワケ」(宝島社)

やまぐちさんちのつとむくんの本(違

町田市にある1店舗の電気屋さん(電器屋さん?電機屋さん?)の話。

価格競争力のない中で,一般的商品をどのように利幅をとって売り,デフレの風潮や価格競争から逃れるかに重点をおいている。

提供商品自体の差がない(顧客にわからない)という状況の中で,弁護士がどうやって生きていくかということの参考になるかと思って購入。
おそらく,このヤマグチさんのような業態が成立する弁護士はいそう。
一つの方向性だと思って読了。

不動産投資系書籍メモ1

証券会社勤務を経て独立した著者の本。
比較的細かいマニュアル的な記載。
ある程度,資金余力があってマニュアルがあれば自力投資できそうな人向けの印象。

これ一冊でなにかはじめられるかというと微妙なのだけれど,世代が近いので比較的読み物として面白かった本。
千葉県を中心に一定の方針をもって賃貸投資をしている様子。
比較的法的紛争もおそれないでミドルリスクミドルリターンを狙う系の印象。

「戸建のDIY再生による不動産投資」(セルバ出版)

主として,評価とDIY部分のみのメモ

賃貸のための築古物件の評価ポイント

・壁,床,天井の張り替えの要否
・襖・障子・ドアの取替えの要否
・水回り工事がどの程度必要か。
・・特に浴室。床交換・塗装,コーキング処理程度で住む物件。
・・キッチンと洗面はカッティングシートで済む物件。

購入後のDIYリフォーム
・入居者ターゲットを絞ってリフォームする。
・作業は天井から床に。
・プロパンガス会社の変更によるガス設備の交換

DIYのポイント
・障子・網戸の交換
・100円ショップでかえる部材の活用
・・スイッチボックス
・・紙製のシェード
・・ウォールシール 等
・汚れたクロスは塗装する
・木部も塗装する。濃いめの色が良い
・暗い部屋は明るい色で塗装する
・外観・ブロック塀やフェンスを塗装する
・設備の一部交換(シヤワーヘッド,照明,蛇口,ウォッシュレット,
・古いキッチンはカッティングシート
・クッションフロアはDIY
・ふすま・ドアの張り替えはクロスを使う
・差別化のためにアクセントクロス
・外回りは高圧洗浄機
・屋内はスチームクリーナー

フローリングその他建物の根本的な部分は外注する方か良いことも

「モリタクの低糖質ダイエット」(SB新書,2016年)

  • ※読後メモ 予想したよりはライザップの宣伝じゃなかった。たぶん,モリタク氏のファン層とライザップの潜在顧客層とはあわない。
  • ※著者はモリタクこと森永卓郎氏。
  • 不健康で運動しない自分でもやせられた著者のエピソード(冒頭から20%)
  • 控えるべき糖質
    • 糖質=炭水化物-食物繊維
  • 甘くない糖質に注意
  • 甘味料(糖アルコールと合成甘味料)を適切に味方に付ける
  • 清涼飲料水はNG,そばもNG,全粒粉も基本的に同じ。
  • 25%から,著者の喫煙と糖尿病と尿路結石の話からライフワークのために死ねない話。37%まで。
  • 低糖質で痩せるワケ
    • インスリンの作用
    • ケトン体の作用
  • モリタクのダイエットの動機 番組企画の賞金500万円
  • 1日トータルで糖質5グラム以下
  • 毎朝トイレの後に体重をはかる。
  • 毎食手のひら大の肉や魚,卵と豆腐を食べる。
  • 牛乳は乳糖を含むので避ける。ヨーグルトもマシだが出来れば避ける。
  • 便秘を避ける
    • 水分をとる。
    • 野菜の接種を増やす。
  • 鍋料理とフライパン料理(4対1)
    • ※なぜか,とり野菜味噌がお薦めされている。
      • まつやのとり野菜味噌
  • 平日1500円で低糖質を実践する方法
    • ※著者の本領発揮?
    • 豆腐を主食にする。
    • 卵を多用する。
    • 肉と魚を組み合わせる。
    • 野菜は見切り品で十分。
    • コンビニの活用
      • 糖質オフのパン
      • サラダチキン,納豆,キャベツサラダ,ミックスサラダ
      • 味付けはポン酢
    • 油断ちはしない
      • 揚げ物は衣を外す
  • 外食での低糖質
    • 御飯は残す。代わりに冷や奴とおひたし。
    • 揚げ物の衣は外す。
    • 寿司屋では刺身だけ。
    • 飲み屋はいける。〆はパス。
    • お酒の飲み方
      • 糖質を含まない酒はOK。
      • 焼酎,ウォッカ,ウイスキー,ジン等の蒸留酒。ただし,割物の糖質に注意。
      • NGはビール,ワイン,日本酒,マッコリなど。
      • ビール大ジョッキ1杯には糖質がおよそ25グラム(おにぎり1個分)含まれている。
      • 日本酒1合は糖質8グラム。
    • 禁煙を同時にはしない。
    • 体重減少が鈍ったら睡眠を多めに
    • 筋トレを組み合わせる。
  • 糖尿病を防ぐ
    • 糖尿病は怖い。
    • 日本人は痩せていても糖尿病になる。
    • 膵臓が元気なうちに糖質オフを始める。
  • 72%から80%まで 成功した結果
    • ラーメンが3分の1も食べられない。
    • 階段が苦でなくなった。
    • スーツを全取っ替え。
  • メタボにご用心
    • お腹が出ているデブは要注意
  • おわりに
  • 特別付録医師からみたモリタク式
    • 主として,生活習慣病の人向けの記述。
  • ダイエット期間中の食事写真

中島隆信「刑務所の経済学」(PHP,2011)

  • ※読後メモ
    • 後ろに行くに従って,経済学的な観点に従ってどう考えるかを示すことを目指してはいるものの,経済学の議論の枠組から離れていく印象。
    • 更生保護全般についての概説兼問題点指摘だと思えば良い本だが,タイトルとはややミスマッチかも。
    • Kindle Unlimitedに入ってるのか…。だいぶ前に紙で買ったんだが。
  • 著者 経済学部出身。慶應義塾大学商学部教授。
  • 社会がどのように犯罪と向き合い,どのような形で社会に受け入れていくことが効率的か示したもの
  • 矯正収容者のコストは一人あたりおよそ年間300万円。
  • 比較優位の原則 人間の持つ能力を自分のなかで相対評価する。
  • どんな人にも必ず比較優位があるから,そこに注力させるのが全体として効率的。
  • なぜ比較優位が働かないか
    • コスト
    • 楽さ
    • ラベリング
  • 赦し・not 和解 but 受け入れ。
    • ※合理性のみならず方法や宗教にまで言及していて,やや別の原理の話になっている。
    • ※とはいえ,犯罪に対する固定観念をもっているであろう想定読者との関係では必要なことか。
  • 厳罰化の合理性
    • 合理的利得を減らし,合理的損失を増やす。
    • 経済学的に
      • 合理的に抑止力を高めるには
        • 逮捕確率を上げるより懲罰を重くする
        • 懲罰はできる限り罰金刑と社会的制裁のウエイトを上げる。
      • 難点
        • フェアネスの欠如→法令遵守意識の低下
        • 持たざる者には機能しない
    • 犯罪者の無力化
      • 収容
      • 年間300万円かかる。
      • 性格保護の年間170万円の方が安い
      • 一つの考え方
        • 社会復帰したとき年間130万円を超える損失を社会に与えるかどうかで判定する
      • 論点
        • 代替効果
        • 年齢による確率低下
    • 抑止力の実証分析
      • 回帰分析
        • 内生性の問題
        • ※マクロ経済学の入門書を読んだ経験が必要かもしれない。
      • 抑止力と無力化の識別問題
      • 米国の実証分析
        • Levitt(1996)
          • 米国の厳罰化政策には一定の合理性が存在した
        • Kuziemko and Levitt(2004)
          • 違法薬物は別の犯罪等の負の外部性があるから刑罰対象となる。
          • 乱用者の価格弾力性はゼロに近いため取り締まり強化は別の犯罪を増やす可能性
          • 警察や刑務所等の公的機関の資源には限りがあり,薬物犯罪に注力すると他の犯罪を誘発する。
          • 薬物使用者レベルでは,取り締まり強化は合理的ではなかった。
        • Levitt(1998a)
          • 暴行,住居侵入,窃盗,自動車泥棒については抑止力効果が有意に推定される。
          • 強姦及び強盗では無力化効果が有意。
      • 日本での実証分析
        • 村松・竹内(1990)
          • 検挙率,死刑判決率は有意に推定されていない。
          • 失業率,被生活保護率はともに有意にプラス。
          • 日本では,死刑には犯罪抑止効果はなく,経済や社会の不安要素をなくすことの方が有効。
          • 批判 内生性。トレンドの偶然の一致の可能性。
        • 秋葉(1993)
          • 死刑の殺人抑止力が有意
          • 内生性には配慮しているが,トレンドを有する時系列データの多用。
        • 牛山(2008)
          • 強盗について厳罰化の効果が有意
          • 説明変数として認知件数が用いられていることに注意を要する。浜井(2006)の指摘するとおり,収容者数は多くのフィルターを経た結果であるところ,行政評価の影響を受ける可能性。
    • 証拠に基づく政策の必要性
  • 刑事裁判と応報
    • 誰も満足しない刑事裁判
    • 反省ありきの日本の裁判
    • 応報の手段としての裁判
    • なぜ被害者は原告になれないのか
    • 刑罰の重さは社会的に最適となりうるか
      • 社会的に最適な解決とは何か
        • 刑罰のコストと便益
      • どうすればそれに近づけることができるか
        • 応報効果の測定が難しい
        • 判例の積み重ねによって実験的に検証される
      • 法学における刑罰の考え方
        • 応報刑論
          • 刑罰の上限
          • 相対的応報刑論
        • 目的刑論
        • 経済学的評価
          • 「責任」とは経済学的にどのように解釈されるか。
          • 世間が納得するような責任の取り方
          • 世間の納得と被害者の納得は乖離する
        • 修復的司法の可能性
          • 被害者の要求する責任を変えていく
        • 司法及び正義と経済学
          • 正義にはコストがかかる。
          • 経済学的な視点を欠いた司法はサステイナブルではない。
    • 刑務所を考える
      • 刑務所の行動原理
        • 事なかれ主義
      • 秩序維持の工夫
        • 規則的な生活
        • 運動会
        • 刑務作業
        • 仮釈放
        • 受刑者のランク付け
        • 刑務官との信頼関係
      • 刑務所の効率的運用
        • 経理夫の活用
          • コスト削減
          • 経理夫の不足
            • PFI刑務所
            • 受刑者全体の能力低下
        • PFI刑務所
      • 出所後のことを考えない刑務所
        • 刑務所の枠組は2つの点で構成という課題に適していない。
          • 更生のためにかかる時間と刑期のギャップの存在
          • 社会と刑務所のギャップの存在
      • 行き詰まる刑務作業
        • B型事業所の仕事を食っている状態。
      • 改善指導の効果
        • 現時点では評価困難
        • 問題点としては
          • 受刑者の本気度
          • 満期出所者への対応
      • 始まった福祉との連携
      • 刑務官のインセンティブを高めよ
      • 今後の刑務所のあり方とは
        • インセンティブ設定。たとえば
          • 更生の難易度に応じた分類
          • ランダム平等条件での処遇
  • 少年犯罪とサイコパス
    • 少年には懲罰ではなく更生
    • 少年院とは
    • 少年犯罪とは
      • 小栗(2010)による
      • 自尊心回復手段としての非行
      • 発達障害児の非行
    • 少年院での実践
    • サイコパス
  • 更生保護
    • 更生保護の現状と評価
  • あとがき

「ポモドーロテクニック入門」(ASCII,2010年)

gtdした上で,next actionの粒度を25分に揃えておき,25分単位で行動を計画・実行するテクニック。基本テクニックの部分はそんなに長くない。基本原理や失敗の要因排除の関連で色々書いてあるから分量が増えている印象。タスクシュートが細かすぎて耐えられない/立場上不適合の人には良いかもしれない。

絶版なのに人気のせいでAmazonでの値段が凄いことになってますね…。

  • 1日せいぜい8ポモドーロが現実的なライン。
  • アクティビティーは1度に1つ。
  • よく観察される先送りの要因3つ
    • 人々があなたの意志に反することを無理やりやらせる。
    • 完璧なパフォーマンスをしなければならないという,自分自身のプレッシャー。
    • 失敗や,批判を受けることに対する恐怖。
  • ポモドーロテクニック
    • プランニング
      • もっとも重要なアクティビティを,アクティビティ在庫シートから,今日のTODOシートに書く
    • トラッキング
      • タイマーを25分にセットして作業にとりかかる。
    • レコーディング
      • 1日の観察結果をレコーディングシートに記録する。
    • プロセッシング
      • レコーディング結果を情報に変える。
    • ビジュアライズ
      • 情報を整理して改善点を見ていく。
  • 測定して記録し,分析し,PDCAを回す。

「ビジネスパーソンのための契約の教科書」(文春新書,2011年)

表題のとおりの本。弁護士向けではないけれど,雑談のタネになりそうな話題も含まれているので,弁護士は第3章まで読むと良いかも。帯に「『黄金の契約3原則』が,あなたを救う。」と書いてあったけど,強調ポイントそこですか?

契約について学び,契約書をよく読み,交渉し,これらをコストとして受け入れること。

以下は,単語的に拾ったもの。読書メモとはちょっと違う。

  • 「我われ日本人は法律や契約を単なる建前と考える傾向が強く,よって必ずしも重視せず,実際にトラブルがあっても話し合いや人間関係で解決に至ると考えがちである」(日本人の法意識・川島武宜・岩波書店)
  • 契約書の言語
  • 権利の譲渡
  • 言語で切り取る
  • クリエイティブ・コントロール
  • アサインバック
  • 裁判管轄と準拠法 超大事
  • アメリカ人は交渉する。日本人は問い合わせる。
  • 「今回は,とにかく合意最優先で」
  • 国内の出版契約
  • ユーザーと利用規約
    • 読んでいられないが読むべき
  • なぜ,学校に「契約・交渉」の授業がないのか
  • 契約とは何か
  • さまざまな契約
  • 契約自由
  • 契約の効果
  • 債務者監獄
  • 書面のメリット・デメリット
    • 後日の証拠
      • エリザベス・ロフタスの実験
    • 背中を押す・腹をくくる
    • 手続上の必要
    • 意識のずれ・見落とし・甘い期待の排除
  • 契約書入門