新人弁護士のための働き方メモ2
前回までで作業を分解して計画を立てるところまでやったことになります。
計画の実行
さて,計画に従ってタスクを片付けていくことになるわけですが,タスク中に注意してやるべきことが2つあります。
作業時間を記録する
その1は作業時間を記録することです。
ストップウォッチを使っても良いですし,Toggleなどのツールを使うことも考えられます。
とにかく,そのタスクに何分を使ったかを記録しましょう。
仕事を加速するという意味では計画段階の見積りに従ってタイマーをセットするという方法でも良いでしょう。
計画通りにいけば20分以内に終わるはずですが,なかなかそう上手くはいきません。
それでもとにかく記録するのです。
作業内容と思考を記録する
その2は作業のステップとその間の思考を逐一記録することです。
記録する場所は前回用意した記録場所,専用ノートや専用ファイル(テキストかマークダウン,あるいはGoogleドキュメント等)です。
前回の交通事故の例だとしましょう。
過失割合を検討するため緑本をめくります。
するとそのうちに,似た場面の過失割合図を見つけます。
それが判タ別冊の68ページであれば,「判タ68ページ?。図××番。」などとメモします。
次にそのページを検討するうちに過失割合の修正要素である「幹線道路」であるかどうかに疑問を生じたとします。
その場合,その疑問が生じたことを書いておきます。
「幹線道路とは?」とか書くわけです。
その上で,判タ別冊の60ページを見ると幹線道路の定義が書いてありますから,「幹線道路とは。緑本60ページ。歩車道の区別があって,車道幅員が概ね14メートル以上(片側2車線以上)で・・・」などとメモします。
そして,「本件道路は片側1車線なので幹線道路にあたらない。」といった結論をメモします。
時間記録の意味
時間の記録があると,次に同じような仕事をするときに何分程度必要になるかの見積りが正確になっていきます。
この見積りの正確さは生活を破綻させないでどれだけ事件を受けられるかを予測するために必要です。
また,事後的に,その事件が割に合ったのかどうかを考えることにも使います。
作業記録の意味
事件が終わったあとで,より効率的な方法はなかったかを振り返ることに使います。
また,特殊な類型の事件や手続きが複雑な事件については,作業記録があることで次回はそれをなぞれば良いことになり,仕事の時間が大幅に短縮されます。
通常の事件であっても,次は幹線道路の定義は何ページだっけと思いながらページを繰らなくても,過去のメモから幹線道路を検索すれば,それが緑本の60頁ということが直ぐに分かり,その分時間の短縮になります。
記憶だけに頼って2回目を早くする弁護士も多く居ますが,記録をとっておいてそれをなぞる方が,ミスも少なく,想起の時間もかからないためベターです。
思考記録の意味
思考を記録しておくことで,基本知識の定着をはかることができます。
また,相手方から主張が出たときの対応が早くなりますし,依頼者への説明もしやすくなります。
あとの事件で同じ事柄について悩んだときなども,電子ファイルであれば自分のメモを検索することですぐに答えが見つかります。
シニアの視点から見ると,思考過程に抜けがないことでチェックが迅速になり,あなたと仕事がしやすくなります。
(続く)